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映画製作者インタビュー002|加藤 秀麻(監督)

映画製作者インタビュー002|加藤 秀麻(監督)


ねこのて映画舎の映画製作者インタビュー、第二回は「0円で撮られた映画」としても話題の『はなうたの鳴るほうへ』を監督された、加藤秀麻監督にお話を伺いました。『はなうたの鳴るほうへ』は、第3回いぶすき映画祭にて上映が決定し、門真国際映画祭第一次審査を通過しているそうです。

映画『はなうたの鳴るほうへ』予告編

あらすじ:役者を目指し、上京したミカコと、日本中をギター一本で回るストリートミュージシャンChizuco。夢に向かってもがくそれぞれの人生が、不思議な縁でつながっていく。成功とは、そして、夢を叶えるとはなにか。必死に生きる女子たちが紡ぐ、明日と今を描いたストーリー。【公式twitterアカウント @Hanauta_Fly



■映画『はなうたの鳴るほうへ』制作に至る経緯



—初めまして。映画『はなうたの鳴るほうへ』、拝見させていただきました。まずは、今回映画を撮ろうと思ったきっかけについて教えていただけますでしょうか。


「きっかけは些細なことでした。CM制作会社で勤務していたのですが、そのときに、Miyuuさんがとあるオーディションを受けにきました。そのオーディションでMiyuuさんは選ばれなかったんですが(笑)」

「全然歌モノではないのに、ギターを背負っていたんですよね。で、一曲歌ってもいいですかと歌を歌ってくれて。その時、『あぁ、表現ってこういうことなんだ。純粋に人に伝えたいってことなんだ。』と感じさせられました」

「その頃自分もちょうど演出を本格的にやり始めた頃だったので、ものすごくシナジーを受けて、じゃぁ作品を作っちゃおう!と思ってカメラマンの河井さんにすぐ連絡をしました」


—なるほど。創作意欲を掻き立てられるような出会いだったのですね。実際に歌手活動をされているMiyuuさんは、映画内で路上ライブをしながらアーティストになる夢を叶えるChizuco役を演じてますよね。ちなみにラジオDJ役を務めるペンギンズも、実在するコメディアンさんを起用されていますが、そういった配役が映画にとても自然なリアリティを持たしてるといいますか、すんなりと映画の世界に入っていくことができるなと思いました。こういったキャスティングについては、例えばリアリティを追求したいという思いなど、何か意図するところがあったのでしょうか?



「そうですね、フィクションではあるものの、リアリティのある撮り方を意識しました。登場人物やスタッフ全員に同じメッセージを受け取ってほしく、夢追い人のリアルを追求したかったので、『自分が自分らしくいる』 ということをテーマとして伝えようと思いました。なので、なるたけご本人が感情移入しやすい配役や、セリフ作り、周辺環境を意識しました」



■リアリティの追求において必要なこと



—『はなうたの鳴るほうへ』を鑑賞させていただいて魅力を感じたのは、登場人物たちに嘘っぽさが見られないといいますか、こういう人いそうだなという、映画作品を見る上で、その嘘っぽさというのは作品に没入する上でとても気になってしまうところなのですが、それを感じさせないのが素晴らしいと思いました。演出については、何か留意したり気にかけて実践したところはあるのでしょうか?


「ありがとうございます。演出面で気にしていたのは、とにかく、そこに生きている人を作ることでした。モニターの中には世界が広がっていて、その世界の中には本当に人が生きている。もともと僕も演劇をやっていたので、登場人物の気持ちや背景を気にして演出しました。少しみんな真っ直ぐすぎたかなと思うところもありますが(笑)」


—登場人物たちのバックグラウンドというのは、大切ですよね。描かれない部分と言いますか、登場人物たちがどんな過去を生きてきて、どんなものが好きでとか、役者さんのキャリアや想像に任せる部分はあると思いますが、役をイメージする上やリアリティを出すために大事ですよね。まっすぐで、すごく良いと思います(笑)



■制作費は驚きの0円!?


—初監督作品としての完成度の高さも驚きましたが、制作費0円で撮られたということを後から知って二重に驚きました。制作費0円で映画を撮ろうという思いは最初からあったのでしょうか?また、どうしてそういう企画を思い立ったのでしょうか?


「自主制作映画というと、自腹を切ったり、人に頭を下げてお願いしてやってもらう形が多いかと思います。ただ、それだといいものができるような気がしなくて…」


—確かに、持ち出しがかなりかかってしまったりして、制作費の捻出や負担がストレスになってしまうという話も聞きますね。


「みんなの『やりたい!』を集めて映画を作りたいなと思いました。普段、CMをメインで作っているスタッフが多いのですが、広告という決められた枠の中ではなく、自由な表現の場で彼らが羽を伸ばしている彼らの姿を見たい思いもありましたし、Miyuuさんも、しがらみなく自由に歌ってほしいという思いからお願いしました。大宮での路上ライブ撮影も、実際アーティストの方でそんなことできると思っていなかったので、今でも信じられません。(笑)」


—出演者さん、スタッフさんの創作への思いの強さが企画の実現に結びついてるのですね。良い企画や良い脚本というものには、たとえ無償でも参加したいと、時として人は集まってきてくれるものですよね。


「なので、クリエイターたちの本気の自由な表現を見たかったですし、自分としてもしがらみなく真っ直ぐに向き合いたかったので、この企画を思いたちました。スタッフは一流のTVCMを作っているみんな、そして出演者たちも最前線で活動しているみんなで、熱く モノづくりができたかなと思っています」

映画のつくりかた【①想い】~僕が0円で映画を撮れた理由~


—ありがとうございました。最後になりますが、何か告知など、メッセージがありましたらお願いします。


「やっぱり、作ったものは人に見てもらいたいという思いがあります、現在、ショートショートフィルムフェスティバルに出品しており、オンライン公開ができないのですが、こんなときだからこそ、明日も頑張ろうってみなさんに思っていただけるよう、上映含め考えていきたいと思っています」

「また、わたくし個人としては近々、クリエイティブプロダクションgarakutaを設立します。garakutaは、ひとりではなにもでもないかもしれないけれど、チームの力でクリエイティブを作り上げていこうという思いで名付けました。まさに、『はなうたの鳴るほうへ』が教えてくれたことだと思っています」

「広告・映画 媒体問わず、これからも最前線で表現を続けていこうと思います。次の映画は、本気でものづくりに挑むスタッフをテーマに脚本を書いています。雑談でも、なんでもお気軽にご連絡くださいませ。これからもよろしくお願いいたします!」


加藤 秀麻 監督プロフィール
映像監督・プロデューサー。慶應大学卒。創像工房OB。警視庁を経てCM制作会社でサロンパスなど大手企業担当。クリエイティブプロダクションgarakutaを設立。【twitter:@shu___ma0622



『はなうたの鳴るほうへ』の制作に当たって加藤監督は、モノづくりの本当のよさ、こんな時代だからこそ、人に勇気や夢、感動を与えられるよう生きていきたいと思い制作を思い立ったそうです。20分という短い尺の作品ですが、もっと長い時間の映画を見ていたような満足感が得られました。かといって、急ぎ足で物語が進行するでもなく、丁寧に登場人物たちの内面にフォーカスしていると思いました。次回作も楽しみです!

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