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映画製作者インタビュー001|髙畑 颯人(監督)



ねこのて映画舎の映画製作者インタビュー、今回は都内でサラリーマンとして働きながら映画製作をされている髙畑颯人氏にお話を伺いました。 髙畑氏は大阪芸術大学映像学科を卒業後、源義経にまつわる伝説を題材にした『新代 鶴舞伝説物語』や 人力飛行機チームの一年を描いた青春群像劇『俺ら、夏鳥』などを監督/脚本などを務めています。また今でも人力飛行機チームへの所属や3D関連のイベントへの参加など多方面で活躍されています。


映画制作を始めようと思ったきっかけ


-- 初めまして。まずは高畑監督が映画作りを始められたきっかけについてお聞かせいただけますでしょうか??

「初めて映画を作ったのは高校2年生の時でした。文化祭のクラスの出し物ととして作った「Dream RING」という20分程度の短編がきっかけです。この時、私は助監督兼撮影という立場だったのですが、完成したものは学内で大変好評になり進路の先生にも「これを中心になって作った人にはぜひ映画の道に進んでほしい」と言わしめるほど成功しました。元々、映画には全く興味はなかったのですが、ここで映画を作る事の楽しさを知って以来自主製作映画を作るようになり、大阪芸術大学の映像学科に進学。卒業して、サラリーマンをやりつつプライベートで映像制作をやる今のスタイルに至ります」
-- 制作は個人でやってらっしゃるのですか?

「社会人になって最初の映画『俺ら、夏鳥』は私一人で企画を始めましたが、学生の時の縁などを通してキャスト、スタッフを集めて作りました。ただ今はこの作品を通して知り合った役者を中心に「おとめ座蝶映河団」という団体を作り、そのメンバーと屋号で活動しています団体名は自身の星座が「おとめ座」である事と宇宙好きである事から『おとめ座超銀河団』と『映画』を引っ掛けてつけた団体です。ただ、この団体のメンバーだけで映画を作る事はまずなく、外部の人もメンバーの繋がりを通して紹介して貰った人なども含めて一緒に作っています」


映画の題材や企画は、どのように生まれるのか

-- 高畑監督の撮られた映画は、地域の伝承をモチーフにしたり、マイナーと言っては失礼かもですが人力飛行機をテーマにしたりと、扱っている題材がとても面白いと思いました。こう言った取り扱うテーマはどのように思いつくものなのでしょうか?

「日常生活の中で、あ、こういう事を映画にしてみたい、と突然降ってくるように思う事も有れば、何かと出会って「こういう目的を果たすために映画を作りたい」と言う場合もあります。ただ、実際に撮影に入るものは何かしらの目標、目的を設定できたものがほとんどです。人を集める場合にも、製作への士気を維持するにもそういうものがある方が良いと考えているので。おとめ座蝶映河団として作った3つの実写映画の企画の発端を簡単に紹介しましょう」



「俺ら、夏鳥」予告編 
「空飛ぶラブコメ」という触れ込みだった人力飛行機を舞台にしたある映画とは対極にある「リアルな人力飛行機チームを描いてやろう」という思いから企画。


「新代 鶴舞伝説物語」  
監督の地元で開催されている映画祭でグランプリを撮りたい、という思いで企画。映画祭ではグランプリこそ逃したものの審査員賞を獲得。


「僕のいる景色」予告編 
大学の頃に卒業制作でロケ地としてお世話になった奈良県曽爾村の村おこしとして、地域おこし協力隊の方と組んで企画、製作。この映画を通して、他の映像作品のロケ地誘致を目指す。


■CG表現を取り込むことの意義


-- 髙畑監督は映画内に積極的にCG表現を用いてますが、個人制作の規模でCG制作まで手がけられるのは珍しいと思い興味を惹かれました。
 
「私自身、できることならCGよりも実写やミニチュアで撮れる事なら撮りたいのが本音です。ただ、3DCGを使うと実写やミニチュア撮影で必要になる大規模なスタジオやセットが無くてもPC上で再現できるようになるのでなんだかんだ必要になる度に勉強しながら取り入れています。今では無償・オープンソースながら商業レベルでも十分に使えるソフトウェアもありますので、PC環境があって手間時間さえかければなんとかなってしまいます」

-- なるほど、確かに一昔前はCGを取り入れる敷居が随分高かったように思います。

「確かに実写を専門にする人がCG・VFXを挑戦する事になると全く新しい高度な技術の習得が必要になるのは大変です。CG界隈では「実写の事が分かっていると良い」と言われますが、経験として役立つものはあっても使い方などはほとんどゼロから覚えないといけないので。なのでCGが強いスタッフが一人でもいると良いのですが……。CGができる人ってみんな忙しくて一緒にやろうと言ってくれても頼み辛くて自分でやるしかなくなってしまう。そうやって勉強しながら作っていたから「俺ら、夏鳥」なんて最初のバージョンで上映会を開いてもそこからCGだけはずっとクオリティアップを目指して1年以上もかけてしまったわけですが」

-- 1年も!!

「めちゃくちゃ頑張りました、そして大変でした(笑)。ただ映像を観てもらった人たちからの感想をきくとそれだけの事をやったかいはあったと思っています」





自主映画の現状や継続性、コンテンツとしての将来性は

「『自主映画』というコンテンツはどんどん作りやすい環境になっているので廃れる事は心配していません。誰もが簡単に映像を撮れる機器を持ち、YouTubeVimeoなどに作った映像を世にだせるのですから。
ただ、その中で自分が作った作品の寿命を伸ばして行くのはどんどん厳しくなっていると感じています。映画祭にエントリーできるのは大半は完成してから1年以内ですからそこで賞を、せめて上映を勝ち取れなかった場合どうするか。そうなると自らで上映会をするのか、ディスクを作るのか、インターネットに公開するのか。それによるメリットやリスクもありますから簡単に実行を移すわけにも行きません。企画当初から完成後に映画祭へのエントリー以外でどうするのかを関係者間で決めていると良いと思います」


告知、メッセージ

-- インタビューありがとうございました。最後になりますが、何か告知など、メッセージがありましたら。

「今回、何度も取り上げた2016年から2019年にかけて製作した人力飛行機チームの1年を描いた映画『俺ら、夏鳥』のDVDを以下URLから発売中です。在庫限りで次の生産はどうなるか決まっておりませんので是非お早めにお求め下さい。 DVD販売案内ブログ記事
それに、こちらの映画が池袋みらい国際映画祭で上映される事が決まりました。本作初の映画祭上映になりますのでお越し頂けますと幸いです。詳細はこちら

また、製作や上映会の情報は「おとめ座蝶映河団」のTwitter及びBlogにてお知らせして行きますのでこちらも是非フォローして頂けると嬉しいです。
今、編集中の『僕のいる景色』の上映会を舞台となった奈良県曽爾村での上映会を2020年春に構想中で詳細が決まりましたら上記のアカウントからお知らせします」



髙畑監督の撮られる映画の題材はどれも面白く、あらすじや予告編を見ただけで本編を見てみたくなりますね!  今後は、奈良県の曽爾村で撮られたヒューマンドラマ『僕のいる景色』の公開に向けて鋭意編集中とのこと。綺麗な景色をで、 どんな作品になるのか楽しみです。 髙畑監督、貴重なお話をお伺いさせていただきまして、ありがとうございました!!




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